2017年 09月 18日
懐かしい人と |
三連休の真ん中の日曜日、お世話になった方が学会で上洛。とあることで、間違ってメールを送ったのがきっかけで久しぶりに会うことに。つもる話で盛り上がったが、知り合いが数人亡くなっていた。
Le conseguenze dell’amore
主人公には過去も現在も未来もない。だが、金めぐるなトラブルが現在を、長いこと連絡をとっていない昔の友だち無二の存在だと感じることが過去を、そしてある女性にに心を開くことが未来を描写していく。謎めいた男の描きた方が巧みで、映像美と音楽センスがそれを増幅させる。『グレート・ビューティー 追憶のローマ』『グランドフィナーレ』のソレンティーノを一躍世界に知らしめた名品といわれるらしいが納得だ。またイタリアの名優、トニ・セルヴィッロがその主人公を怪演する。映像美、「果てなき」孤独と奇妙な愛の軌跡が描かれる。
舞台は、スイスのイタリア語圏にあるルガーノのホテル。中年の男ティッタ・ディ・ジローラモはその一室に8年間暮らしている。自分の意思でそうしているわけではないことは物語が進めば明らかになる。とにかく彼の部屋には定期的に札束が詰まったトランクが届けられ、彼はそれを銀行まで運び、入金する。
彼は徹底して規則正しい生活を心がけている。ホテルのバーでは必ず同じ席に座る。月に一回だけ決まった時間にヘロイン打ち、定期的に血液を洗浄する。部屋の清掃係やバーのウェイトレスが挨拶しても無視している。感情を出すことを極力避けパ生活のリズムを壊したくないのだろう。家族に電話するが話すことはない。
2017年9月17日:みなみ
150『ウンベルトD』 (1951)
UMBERTO D
貧しくても自らを落ちぶれていくことを拒否する老人。行為と心情が冒頭からラストまで続く。黒澤の『生きる』にどこかで通じる物語だが、痛さは数段きつい。ただ、愛犬が愛くるしく、老人を気遣う姿に救われる。特にラストだ。『自転車泥棒』『ひまわり』などのデ・シーカが、1950年代のイタリアを活写。そして2017年の日本・われわれは「遠い昔の異国の話」と片付けられない作品だ。
年金支給額を上げよ――とのデモ行進に参加していたウンベルトは老退職公務員でアパートに一人暮らしの身。いつも小型犬のフライクを連れている。家賃が大幅に値上げとなり、その前に滞納分を払わなければ早刻立ち退き、と女家主に言い渡された彼は、途方に暮れる。どうにかお金を工面しようとするものの、いよいよどうにもならず自殺を覚悟する。フライクの命だけは何とかしようとするもののそれもままならず、とうとう彼を道連れに鉄道に飛び込もうとして……。
2017年9月18日:みなみ
151『三月生れ』(1958年)
Nata di marzo
結婚生活に幸せは1人分しかないーーってな名言が飛び出すが、衝動的で奔放でワガママな女性と結婚した男性は大変だ。ただジャクリーヌ・ササールは可愛いから、仕方ないか。イタリアの3月は気候が変わりやすいことから、3月生まれとは、気まぐれな女の代名詞らしいし、それがタイトルになっているらしい。それにしても夫との喧嘩は凄まじい早口で、まさに機関銃だったな。
気まぐれでわがままな17歳の娘フランチェスカは、街なかで知り合った20歳年長の建築士サンドロと衝動的に結婚してしまう。奔放な性格で夫を翻弄するフランチェスカだが、やがて結婚生活の難しさを認識し始める。喜劇のオブラートに包まれた苦いドラマ。題名は、気候不順を表現する諺「三月はいかれている」から採られている。
50~60年代にかけて秀作を連打した才人ピエトランジェリの長編第4作。
2017年9月18日:みなみ
by dai-tora
| 2017-09-18 19:28
| 映画
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